私が音楽の道に進むきっかけになったのは、少年時代にウィーン少年合唱団の歌声を聴いたことです。
この世にこんなにも素晴らしい歌声があったのかと、感動しました。いま、こうした感動やきっかけ、方向性が見えない若い人が多いようですね。その意味でも、音楽家は「人が生きていく上で、音楽がかけがえのないものだ」と証明しなければいけません。生きていることの素晴らしさ、楽しさ、美しさ、ときには悲しさを、音楽を通じて訴えたり、表現すること。それが音楽なのです。
たとえば、同じ曲でも一回一回演奏する度に毎回違います。決して同じ演奏ではいけないんです。それが音楽であり、生きて感情を持っている人間の表現なんです。音楽は続ければ続けていくほど自分が見えてきます。これはクラシックの世界に限ったことではありません。
バッハの時代から現代まで、ドミソの和音が構成されていて音楽は変わっていないんですから。
これまで日本の音楽教育は西洋音楽、特にヨーロッパの音楽の模倣でした。しかし、これからは日本から発信していくことが大切だと考えています。文化と文化の融合や最新のコンピュータ技術と伝統の共演など、独自の音楽が必要ですね。エネルギーにあふれた若い人たちが、音楽の感動を伝えると同時にその歓びを自分で感じながら、新しい音楽の世界を創造してくれることを私は期待します。
学長/教授/図書館長 出田 敬三
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